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「シーソー」は、Nifty serveの現代詩のフォーラム３番会議室と新・詩のフォーラム５番会議室に、2000年5月〜2000年7月に掲載した連詩を、一部加筆・修正したものです。 なんか、書き終えた今となっては、しみじみと感慨にふけってしまいます。マユコは、ここまで来たんだね。これからも生きていくんだね（＾＾ |
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マユコ １ つむじ風の勢いで学校から帰ってくるなり 手くらい洗いなさいと コンピュータに向かって きっと セットしたはずのコーヒーメーカーが 振り返った先 なんだろう 記事を書くのはやめにして お湯をわかす やかんが湯気をたてる カップを手に なるみの部屋に行くと さてと 西の方 笑いがこみ上げる 泣き叫びたいのに |
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なるみ １ はなちゃんと りりこちゃんが くじいた足がずきずきする 似顔絵がとても上手にかけたので 明日も あさっても おかあさんはひきょうだ ずきり 胸がいたくなって あ ほら うかんでるよ |
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マユコ ２ なるみの寝顔を見ていると 昨日の救急車騒ぎが 病院の帰り道 最近娘さんが不調を訴えたことはありませんか 包帯を巻いたなるみの足を撫でる カップが落ちて 琥珀色の液体が 慌てて陶器の破片を拾い集める 今日はもう眠ろう そうすればまた |
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なるみ ２ 玄関の階段にすわって 本を広げる おかあさんが勝手に ドキドキしながら電話したのに さいごまで読んでしまうと おじいちゃんも有美さんもだいきらいだ 「あれ、なるみちゃんじゃないか？」 のんびりした声がして顔をあげると 高橋さんは おばさんがいないと思ったら 「それ、この前に出たおかあさんの本だろう」 わたしはあわてて かんちがいしないで 高橋さんが笑いだす どうしておかあさんと話をしないんだいって おかあさん どうしてわたしは 「ほら、これを聞きにきたんだろう」 もどってきた高橋さんが 小さな紙をくれる おとうさんの名前 「おれがひっぱたいたって、 なんか手品みたい 目をつぶると わたしはここにいるのにね |
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マユコ ３ いつの間にか とても喉がかわいたので 「なるみ？」 もうお昼ご飯の時間もすぎたというのに 記事がとてもうまく書けたので 「なるみ、いい加減に」 部屋を覗くと 中はもぬけの空で 見てはいけないと 誰かの声 掛け布団をめくると ねえ なるみ 涙 出ないよ |
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なるみ ３ 貯金の合計は 八万六千円 おかあさんへの置き手紙 もう 四時間もたつのに あ ときどき胸がいたくなるけど おかあさんのことを 抱きしめたカバン 菜の花がおわって 涙がとまらないよ さよなら チロちゃん あの写真の猫も おかあさんも |