「やね」
− １ −
あめになって
そらからおちていく
ならんだやねの
ひとつをめざして
かぜにおまじない
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− ２ −
くろうしてぬいた
したのまえば
やねに
なげあげたら
とんでもないほうへ
とんでいった
あわてて
かぞくぜんいんで
みらいをかけた
ローラーさくせん
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− ３ −
とびたった
ふうせん
のきさきで
ひとやすみ
にしへいこうか
ひがしへいこうか
かぜが
まっている
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− ４ −
きみょうな
かたちの
いえだとおもっていたら
きょじんが
ときどきあそびにくるので
いすがひつようなんです
となりの
ヒロセさんがわらった
じゃあ
うちのやねをテーブルにおつかいください
じょうだんでいった
つぎのひ
よなかのにじに
いえがとつぜんゆれた
こわくてたしかめられなかった
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− ５ −
えんがわで
そらをながめていて
きがついた
ひごろから
せいかつがものたりなくかんじるのは
あまだれのおとが
きこえないせいだったのだ
さっそく
ホームセンターのちらしをみつけて
あれこれけいかくしながら
そうそう
かたちのいいあきかんも
あつめなければ
てんきようほうはどうだろうか
どれからてをつければいいのか
きもちがそわそわする
おだやかなごご
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− ６ −
ミニチュアの
いえのように
とつぜんやねがはずれて
だれかが
なかをのぞきこむかもしれない
とおもうと
いてもたってもいられなくて
はじめたとは
きはずかしくていえずに
まあ おちゃでものんでてよ
ともだちを
ちらかったへやのすみにすわらせる
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− ７ −
じゅうななねんぶりに
にかいのまどから
やねにでてみた
いぜんのように
アイスクリームをてにもって
あまどいをつかんで
かわらをしんちょうにふんで
そうそう ここだ
ちょうどよいくぼみに
すっぽりすわった
しゅういのいえなみは
すっかりかわったけれど
ひざしはあいかわらずで
あせだくになって
アイスクリームをたいらげた
ふと わきをみると
かわらのすきまに
きのバーがおしこんであった
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− ８ −
こだちのむこう
みえかくれ
していた
あかいやね
さよなら
さよなら
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− ９ −
あの
あかいやねのいえを
めじるしにしよう
みちは
うねうね まがりくねっているけれど
きっと
ひとつくらいは
たどりつけるみちがある
なければ
のはらをじゅうだんすればいい
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− １０ −
おくじょう
へりにたって
みおろしてみる
じめんが
おいでおいでしている
ちが
だくだくながれるだろう
からだが
あちこちいたむだろう
そうぞうできるのは
よゆうのあるしょうこ
まだ
もうすこしだけ
がんばれる
いっぽ
あとずさる
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