「うみ」
− １ −
わたしの
まわりにも
うみがほしい
そうすれば
わたしも
まるく
みえるから
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− ２ −
おおい
よんでも
へんじはない
ないていても
なぐさめてもくれない
じゃれても
あしらわれるだけ
なのに
きもちがおちつく
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− ３ −
みえないちからが
あるなどと
きぼうかんそくてきな
おもいこみは
もう やめにしよう
うみはうみ
そらはそら
わたしはわたし
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− ４ −
りょうてをおわんにして
うみにしずめたら
てのなかにあるのは
それは うみ
なのに
ひとたびすくいあげると
それは ただのみず
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− ５ −
とにかく
およぎつづけよう
はてがないなんて
わたしは ぜったい
しんじない
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− ６ −
こんにちは
ふかぶかと
あたまをさげると
わたしのうみが
てっぺんからこぼれた
おきになさらず
あいてのひとが
ゆかをふこうとして
おっとっと
あたまのてっぺんから
みずをこぼした
ふたりして
ふたをわすれてくるなんて
おもわずふきだした
おっとっと
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− ７ −
かいめんからのじょうはつは
うみ ぜんたいからすると
びびたるものなのに
ちじょうのみずを
すべて まかなっている
うみのそこ
かいりゅうやみずのおんどが
ちきゅうのきこうを
けっていづけている
わたしのしくみは
せかいに
どんなえいきょうをあたえているのだろうか
わたしのことばは
だれにとどくのだろうか
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− ８ −
じぶん と
じぶんでないもの の
さかいめ
けっして
むこうがわではいきていけない
しょうこに
くりかえし
なみがすなをあらっている
くりかえし
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− ９ −
ちいさなころ
うみのえを
かくのが
にがてだった
どのいろをぬればいいか
わからなかった
ほんものと
おなじいろを
ぬるひつようなんてないって
だれも
おしえてくれなかった
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− １０ −
こんなにはげしい
あめのひになら
うみに
かえることができるだろうか
ひだりあし
みぎあし
のじゅんにすすんで
きがつくと
うみのそこで
かいそうのように
ゆられている
でも
それはきっと
わたしじゃない
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