「ノート」
− １ −
うっかり
にページとばして
つぎをつかってしまって
もったいなくて
つかいみちをかんがえる
そうだ
みらいをよそくした
にっきにしよう
さいきんのイベントは
なんだっけ
かんがえたしゅんかん
はをくいしばって
わすれたはずのことを
おもいだしてしまう
さいあくなごご
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− ２ −
ぐうぜんひらいた
ページに
ふかかいなきじゅつをみつけた
とりくん というなまえと
さんかくとまるがくみあわされた
きみょうなとり
なんだか
いごこちがわるくて
おもわずノートをとじた
まどのそとをみると
きもちよさそうなそらが
とおくまでつづいていた
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− ３ −
とてもきれいなことばを
ひろったので
ノートをちぎって
かみひこうきにして
そらにとばした
かぜがおとをたてて
うばいあいをした
おちばにうもれて
こいぬがうおうさおうしながら
とどかないひこうきに
てをのばした
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− ４ −
こうえんのベンチに
ノートをひろげて
さりげなく
みずのみばにいくふりをして
ようすをうかがった
かれはが
いちまい にまい
ノートにまいおりようとして
もうすこしのところで
きまぐれなかぜにさらわれた
ちぇっ というしぐさで
ページがめくれた
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− ５ −
まいにちの
できごとやこうどうを
ことこまかにしるしたノート
ほらごらん
ぼくはこんなにいそがしいんだよ
って
そりゃあ
こどうのかずまでかぞえてたら
しごとのかえり
たのんだマヨネーズを
かいわすれてもおかしくないけど
だからってねえ
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− ６ −
あしたの
わたしにあてた
てがみ
たまには
ぎゃくむきに
おくってみたいのに
かこからみらい
いつも
いっぽうつうこう
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− ７ −
ねえ
あいつのなにがいいの
ともだちにきかれても
しらんぷり
ぐうぜん
みかけたおみせ
おなじにっきちょうを
かった
それだけだなんて
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− ８ −
ペンが
しっくりこない
ノートのラインが
ひろすぎる
すぐに
じゃまがはいる
って
いいわけばかり
ほんとは
かきたくないだけ
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− ９ −
めくっても
めくっても
あたらしいかみ
めくっても
めくっても
あたらしいきもち
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− １０ −
なみだのあとは
のこらない
おもってもいなかった
ことばだけが
きえずに
きずつけるだれかを
さがしている
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