み か ん

2003.8.20更新


「みかん」

− 1 −

かわをむき

すじをとる

ひとふさごとに

こめる

あいじょうの

すべては

わたしじしんのため

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− 2 −

よこはばが

ひろいのも

そこが

たいらになっているのも

なにもかもが

ちょこんところがって

ひとを

こたつにさそうため

いでんしが

くみかえられたのだ

 

じゃあ

もうひとつ

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− 3 −

ひざしが

あたたかい

もうすこしだけ

ねむっていよう

きっと

こんなふうに

なにもしないあいだも

どこかでなにかが

かわりつづけている

きっと

いみがある

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− 4 −

なんのいんがで

こんな

さむくてくらいへやに

とじこめられてしまったのだろう

からだだって

かたくなってきた

こんなことで

ほんとにだれかがわたしを

ひつようとしてくれるのだろうか

ほかのみんなは

なんでのんきに

ねむっていられるのだろうか

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− 5 −

でんしゃがつくたび

かいさつぐちが

たくさんのひとをはきだして

また しずかになる

おなじひとは

いちどきりなのに

よくできた

まちがいさがしのように

おなじくりかえしにみえる

ベンチにすわって

また ひとふさ

くちにはこぶ

わたしのそんざい

だれかのそんざい

あまいかにくをのみこむ

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− 6 −

わたしのいろは

なんていうの

ねえ

まさか

オレンジだなんて

よばないよね

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− 7 −

かわがはぎとられて

ひとふさずつ

ばらばらになったら

いったい

どのぶぶんが

わたしなのだろう

それいがいは

わたしじゃないんだろうか

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− 8 −

メロン イチゴ

ナシにブドウ

スイカ モモ

わたしはいちばんになれない

いつだって

あ そういえば

のそんざい

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− 9 −

 

ながいあいだ

ほうちされて

はんぶんひしゃげて

かわがさけて

なかから

どろどろしたものがながれだして

へんなにおいがするけれど

それでも

わたしはみかん

たぶん

そのはず

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− 10 −

あまいみかんをさがして

ダンボールのなかを

ぶっしょくしていて

おねがいのかみさまをみつけた

ねがいごとを

なんでもひとつ

かなえてあげましょう

ええっ みっつじゃないの

そんな

おきまりのやりとりのあと

かみさまは

やくそくどおり

ひとつだけかなえてくれた

きたいをうらぎらない

とびっきり

あまいみかんだった

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